スレッジハンマーはプロ野球の歴史に名を残した

2009年のプロ野球、とりわけパ・リーグは歴史的にみても記録にも記憶にも残る一年でした。パ・リーグでは東北楽天ゴールデンイーグルスが球団史上初のAクラス入りを果たし、クライマックスシリーズにも初めて進出しました。日本シリーズへの期待もあった中で、その「夢」や「期待」を壊す「武器」を対戦した北海道日本ハムファイターズは持っていました。それがスレッジ選手です。

クライマックスシリーズ第2ステージの初戦、楽天はファーストステージでの勢いをそのままに序盤に大量得点で日本ハムを突き放します。しかし、4点ビハインドで迎えた9回裏に1点を返し、なおも1アウト満塁と楽天の抑え投手でこの年メジャーから帰ってきたばかりの福盛和男投手を攻めます。そして、打席にはスレッジ選手が立ちます。カウント1ストライク0ボールから、膝元もボールを掬い上げると、打球はそのままレフト方向へ伸びていきます。長い滞空時間の末に、打球はファイターズファンの待つレフトスタンドに入り、逆転サヨナラ満塁ホームランとなりました。あまりにもできすぎたドラマに歓喜に沸く札幌ドームの観客たちの一方で、実況アナウンサーはしばらく言葉を失いました。その後もスレッジ選手はこの4打点を含む10打点をあげてシリーズ突破に貢献しました。

もしこのホームランがなかったら、野球の歴史は今頃変わっていたのかもしれません。

ボールとグローブ